1日のコレステロール摂取量について
コレステロールとは、血液中の脂質の一つで、中性脂肪やリン脂質、遊離脂肪酸とともに体の中に存在しています。
適量のコレステロールは細胞膜を形成したり、神経伝達に関与したり、副腎皮質ホルモンや性ホルモンを合成したり、脂肪を分解する消化液(胆汁酸)の材料になるなど、私たちの体に必要不可欠なものです。
コレステロールにはLDL(悪玉)とHDL(善玉)という2つの種類があります。
「悪玉」は体の様々な細胞の材料となるコレステロールを運ぶ役割、そして「善玉」は血管の中で増えすぎたコレステロールを回収する役割を持っています。
悪玉の数値が高いと、将来脳梗塞や心筋梗塞を起こす危険性が高まることが知られています。
2003年の世界保健機関による生活習慣病予防に関する報告書では1日のコレステロールの摂取目標を300mg未満としています。
また、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、コレステロールの摂取目標量の上限は成人男性で1日当たり750mg、成人女性で600mgとされていました。
しかし、2015年の「アメリカ人のための食生活指針2015−2020年版」および厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、食事で摂取するコレステロールと血中のコレステロール量との関係性が見いだされないとして、摂取目標量は撤廃されました。
2015年時点で、アメリカ心臓財団と米国心臓病学会も同様に撤廃していますが、全米脂質協会の脂質異常症のためのガイドラインは200mg未満としています。
こうした違いは、健康な集団と、特定の病気に関連した集団という違いに由来します。
このようにして食事生活指針からのコレステロールの摂取基準は2015年を境になくなりましたが、議論は続いています。
2015年に食品中コレステロールの摂取基準の上限値が撤廃されたことで、「卵は関係ない、いくらたべてもいい」と誤解している人もいますが、卵にはコレステロールだけでなく、飽和脂肪酸も含まれているため、食べ過ぎれば確実に悪玉コレステロールに影響します。
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